㋑ 形容詞・形容動詞の連用形、体言に断定の助動詞「なり」の連用形「に」、またはそれらに助詞「て」の付いたものなどに付いて、それらに叙述の意を添える「ある」「いる」を敬っていうのに用いられる。…て(で)いらっしゃる。 「この度はいかでか辞いなび申さむ。様もよき人に-・す/竹取」 「この大臣おとどどのはかくあまりにうるはしく-・せしをもどきて/大鏡伊尹」 〔 (1) 上代にはまだ用いられず、中古の仮名文に多く用いられる。 (2) 活用については、サ変説のほかに、四段・下二段の両活用があったとするものもある。 (3) 命令形には、「おはせよ」のほかに、「おはせ」の形も見られる。「あなうれし。とく-・せ/枕草子 82」 (4) 近世には、サ変のほかに、四段の例も見られる。「なうそれなれば直実入道にて-・さぬか/浄瑠璃・念仏往生記」〕